選ばれなかった私に。

たまった思いを淡々と。

今日と明日のあいだに何も変わりはしない

君が、人とうまく喋れない自分を許せなかった
長い夜のことを、覚えている。

君は、これまでの自分は他人に対して関心が薄すぎたのだ、と思った。
けれどもまた、他人を耐えず意識して、そしてすがりすぎたのだ、とも思った。



あの夜明けの空を見るといつも、胸が痛む。
悲しいことと、美しいことは、同じ次元で存在していることを思い出すから。

まだ肌寒い早朝の街で、走る車はだんだんと多くなり、ぱらぱらと人が歩きだす。
透明な窓ガラスに触れては、その透き通った冷たさを感じている。

純粋さの名残を惜しむように。



君は、何もかもを間違ったのだ、と思った。
そうしてまた、何もかもが正しかったのだ、とも思った。

そんなふうに矛盾した思いは、君をきっと苦しめるだろう。

ある時君は、他人を拒絶しては求めた。
ある時君は、認められたくて認めなかった。

それでもそんな君を、誰も間違っているとは言わなかった。
そんな矛盾した思いを抱えて、それでも君は君を見捨てなかった。



目覚めた朝の白い日差しに照らされた部屋は、ひどく清潔に見えた。
昨日までの過去がまるきり消えてしまって、
ここにしか存在しなかった自分なのなら、
後悔さえ意味はないのだと、君は思った。