選ばれなかった私に。

たまった思いを淡々と。

誰のせいでもないあの虚しい音は

お弁当を作るだけで1時間もかかるなんて、この先やっていけるだろうかと、くだらないことを考えては憂鬱になる。
いつだって要領は悪くて、愛想でなんとかしようとしてきた私だから、張り付かせてきた笑顔だけは自信があるなんて、自慢にもならないね。
他人の目がなければ笑顔なんてなんの役にも立たなかった。
結局さいごは誰かに甘えて頼ってきた自分のことが浮き彫りになって嫌になるよ。
こんなに静かで冷蔵庫の音しか聞こえない夜は。


昔、お菓子を上手につくれたことが嬉しかった。
昔、君が手を繋いでくれたことが嬉しかった。

なんの迷いもなくそれが幸せだと思っていたことはもう、昔のはなし。

今だって嬉しいよ、
でも、
だから?って心のなかで呟く声が聞こえだしてからは、もうだめだった。

明日には嫌なことがあって、
せっかくのこの高揚した気持ちもいつか萎んで、
それを永遠に繰り返して生きることにうんざりするねって、
嬉しい瞬間にそんなことも同時に思う。

こんな気持ちはふと去来したものなのだろうか?
いつかまた、ふと消えて、
純粋に喜びを感じることができるだろうか。

どうして先のことまでネガティブに考えてしまうのだろう、そんなの効率も悪いのに。

君が、そんな風に思わなければいい。こんな虚しさを味わっていなければいい。
だから私の気持ちなんて、ずっと分からなければいい。
冷たいねって君は言うかもしれないけれど。