選ばれなかった私に。

たまった思いを淡々と。

つくりものだよって君は笑ったけど

あのテーマパークの雑踏のなかで、
絵の具を薄くといたような水色の空を見上げたことを、覚えている。
パレードの色とりどりの紙吹雪が、
何もかもを覆いつくすように舞っていた。


そこでは誰もが笑顔だった。
永遠のように鳴り響いていた音楽に、
まるで夢の中のように現実味をなくしていった。


とても楽しかったのに、どこかで締め付けられるような小さな胸の痛みを感じるのは、なぜだったのだろう。


パレードのダンサーはこぼれるような笑みを浮かべて、ずっとここで躍り続けていくように思える。
けれど家に帰れば疲れた顔で、ひとりお湯を沸かしているのかもしれない。


日常を忘却して、あの紙吹雪のようになにもかも覆い隠して、そこだけに存在する世界を作った。
そんなにも刹那的に、幸せだけを切り取って。


胸が痛むのは、いつか終わってしまうことを知っているから。


そうしていつまでもあの日の光景を再生しては、
すこしの悲しみとまざりあった、
幸せのことを思い出す。