選ばれなかった私に。

たまった思いを淡々と。

土だけが残った鉢植えを

庭先に気づけば咲いていた朝顔の美しさが、自分のものにはならなかったように、
誰かの喜びは、自分の喜びにはならなかった。

かつて大袈裟に誰かを祝い、自分のことのように喜んでみせては、
同じように自分に返ってくると当たり前のように信じたことが、
このやるせなさの始まり。

誰も自分に精一杯になることはきっとあって、それはなにも恥じることではない。
むしろ恥じるべきはそれを悲しいと感じる私自身が、
無自覚に見返りを求めていたこと。

自分のことのように他人の喜びを感じれたことなど、
本当はなかった。


あの朝顔は人知れず庭の片隅に咲いて、そしてただ咲き続けた、
それだけだった。
いつしか萎れて色褪せた花に、
寂しさと美しさを同時に感じた。

あの花が咲いたとき、私は嬉しかったのだ。
私のためになにもしてくれなかったその花が。
そんな風に誰かにも思えればよかった。
なにも伝えなくともそっと大切にできるように、自分だけで思えればよかった。

あの朝顔は誰にも見られずにひっそりと枯れて、
私だけが花弁の青さを知っていた。