選ばれなかった私に。

たまった思いを淡々と。

雨が降ればいつも濡れてしまうその肩

例えばそれは、穴のあいた傘。

誰かに差し出しても黙って首を振られるような。
君のやさしさは、いつだってそんな風だった。


君は、君自身を削って分け与えることが誠実だと信じた。
けれど全てを与えきれない自分のことを、君は許せなかった。



君のやさしさを思うとき、
いつも薄暗い裏通りの路地を思い出す。
そこに寄せ集められたがらくたは、
寄せ集められた悲しみそのもののようだった。


君に伝えたいことはきっと、
そんなにも単純なことなのに。
けれどきっと、伝わらない。


誰かを許すなら、それよりも先に自分を許せ。
誰かに与えるなら、与えられた喜びを知ったものを。


君の瞳が悲しいから、それに写る自分も悲しくなるのだと
だから君のやさしさを、誰も受け取ってくれないのだと

君に伝えられないことが、寂しい。