選ばれなかった私に。

たまった思いを淡々と。

さよならは聞こえなかった


優しさは、終わりに似ている。


夕暮れの風の匂いに感じた淋しさが好きだった。
最後にたよりなく落ちた葉の行方をいつまでも追っていた。

たとえ死が悲しみでも痛みでも、すべてから解放される救いだと信じたがった。
死んだら星になるのだという綺麗な言葉を、はじめから信じられなかったのは、星に縛り付けられて、永遠に世界を見下ろさなければならなくなった孤独を想像したから。



仕事が辛いよ、人間関係にうんざりするね、分かってたけど。
あんなに苛々して誰かにあたった最低な君でも、辞めますって言ったときから、人にやさしくなれたんだね。



始まりと終わりを何度も繰り返しては、苦しみと救済を何度でも味わう。
いつからかその間隔が短くなっていたことに気付いたときには、
永遠という言葉を痛いねって言いながら
それでも、ふとした瞬間にその言葉を呟きたくなる自分をもてあましている。


雨上がりの澄んだ空の色そのままの、鏡のような水たまりには、自分を映したくなかった。
美しさはいつだって外側にしかなかったから。
だから君をひとりにしたってへいきだって、安心して終われる気がした。
だって誰かがいてもいなくてもきっと、美しさは変わらずに君を慰める。


あぜ道の端に咲く彼岸花を、ずいぶん久しぶりに見た。
首飾りはいつも上手に作れなかったのに、それほど悔しいと思えなかった君は、花で遊ぶような幼いころから、諦めと受容の違いを見失っていたね。